腹膜中皮腫と4リッターの腹水(患者手記)
公開日:2025年9月17日
執筆:北海道支部 宗像真美
※本執筆は、患者の体験をもとに個人の感想として執筆しています。治療選択など、医療に関わる問題については主治医をはじめ、通院されている病院の「がん相談支援センター」など、医療関係者との相談を踏まえてご検討ください。

腹膜中皮腫の診断とセカンドオピニオン
はじめまして、札幌市に住む宗像真美(むねかた・まみ)です。
私が腹膜中皮腫と診断されたきっかけは、2023年9月に会社の健康診断で受けたレントゲン写真に「要検査」と指摘されたことです。すぐに近くの病院を受診したのですが、当初は腹膜腫瘍の疑いということで、まだ確定ではありませんでした。その後、北海道大学病院で生検を受け、さらに2024年4月にオンラインで築地の国立がんセンター中央病院の医師のセカンドオピニオンを受けることで、ようやく病気が確定しました。
診断が確定した当時、「自分には何の不調もないのになんでこんな大変な病気に?」「この先どうなってしまうんだろう」という信じられない気持ちや不安、そして悲しい気持ちが入り混じり、頭の中を巡るような複雑な心境でした。
家族には、まず看護師である次女に最初に伝えました。その後、夫や子どもたち全員に伝えたのですが、家族は皆、驚きながらも私の前では泣いたりせず、平常心で接してくれたので、それが大きな支えになりました。夫と次女は二人きりの時に泣いていたと、のちのち教えてくれましたが、私には見せないようにしてくれていたようです。
北海道大学病院で確定診断がすぐにつかなかったこともあり、セカンドオピニオンを受けることにしました。オンラインでの診察で、夫と一緒に話を聞いたのですが、やはり病気の確定を聞いて「ああ、やっぱりそうなんだ」と、少しがっかりしました。
治療の開始と腹水の増加
診断後、2023年5月から北海道大学病院でアリムタ(ペメトレキセド)とシスプラチンの併用による抗がん剤治療を6クール受けました。この治療は私にとって本当に辛く、食欲不振や倦怠感が続き、食べ物が全く食べられなかったのが一番辛かったです。「二度とやりたくない」と強く思うほどでした。
抗がん剤治療が終わった後、少し間を置いて免疫療法のオプジーボ(ニボルマブ)の治療を始め、現在7回目が終わったところです。オプジーボは4週間ごとに受けていますが、抗がん剤に比べて体がかなり楽だと感じています。副作用も足の付け根に少し痛みがあるくらいで、重い症状はありません。
治療の経過としては、当初は腹水が増えていなかったのですが、ここ数ヶ月で腹水が増加しました。最近では、5月26日に4リットルの腹水を抜きました。
治療に関して、遺伝子パネル検査の話も先生からありましたが、現時点では組織量が足りず、今後の体調次第で血液検査などでの実施を検討していくとのことでした。
仕事をして、趣味を楽しむ
抗がん剤治療後、すぐに仕事に復帰しようと試みましたが、すぐにダウンしてしまいました。その時「甘いものではないな」と実感したのですが、オプジーボ治療で体が少しは楽になったこともあり、今はスーパーでの商品の品出しの仕事に復帰しています。職場は私の病気に理解があり、体調に合わせて週2回程度の出勤で良いと配慮してくださっています。
普段は家でゴロゴロしていることが多いのですが、私は20年近く日本ハムファイターズの熱心なファンをしています。体調が良い日は積極的に球場へ足を運びます。球場に行くと元気が出ます。最近も交流戦の3連戦を連日観戦しました。ちなみに、お気に入りの選手はユーモアのある「伏見寅威」選手です。
友人にも病気のことを伝えていますが、体調が悪い時でも「運転するから行こう」と野球観戦に誘い出してくれたりして、とても助けてもらっています。最近は薬が変わって自分でも運転できるようになったので、運転して球場に行くこともあります。長い付き合いの友人には、隠さずに病気のことを全て話しています。
主治医やセカンドオピニオンの先生方には、本当に感謝しかありません。どんな質問にも丁寧に答えてくださり、対等な目線で話してくれるので、不満は全くありません。特に、北海道大学病院の野口先生(現在は転勤)には、具合が悪くなった時もすぐ対処してくださり、とても助けられました。昔、親や祖父母が病気で病院に行った時の記憶で、お医者さんが上から目線で難しい言葉で話す印象がありますが、今の先生方は違います。
中皮腫はアスベストばく露が原因とされる病気ですが、私自身にアスベストを吸った明確な記憶はありません。ただ子供の頃、学校の音楽室や体育館などで、ボールを当てたり人が移動したりすると、天井からパラパラと何かが落ちてきていたという印象的な記憶があり、あれがそうだったのかなと感じることはあります。大人になってからの仕事では、思い当たるものはありません。
夫は、私の病気が判明した際、最初は「びっくりして信じられない」気持ちだったと話していました。しかし、主治医との会話や、「患者と家族の会」の方々の情報で何年も治療をしておられる同じ病気の患者さんの話を聞くことで希望を見出し、そのような情報を私に教えてくれます。夫は私以上に積極的に情報収集を行い、全面的にサポートしてくれています。家事も手伝ってくれ、私の気持ちが暗くならないよう明るい話題を心がけるなど、メンタル面でも支えてくれているので、本当に助けられ、感謝しています。
なんで自分がこの病気に、と思う気持ちはありました。でも、なってしまったものは仕方がないから、悪い方にばかり考えないで、なるべく明るい話題を考えるようにして毎日過ごせたら良いと強く思っています。これからも、自分にできることを続けていきたいと思っています。
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