患者・家族・遺族の皆さまへ

患者・家族・遺族の皆さまへ

更新日:2023年5月27日

公開日:2022年2月25日

「同じ立場」の体験者の経験を分かち合うことできます。「異なる立場」の体験者からも自分や自分のまわりの家族などに置き換えて関係性や自分の気持ちをみつめ直すことができます。分かち合いを通じて、それぞれにあったスタイルをみつけていきましょう。

患者にできること

「中皮腫」などの診断を受けたときは、ショックや不安、絶望など「何も考えられない」「涙が止まらない」などの状態が続くこともあります。気持ちの切り替えは簡単にできません。ご自身のペースを大切にしてください。その上で、私たちや「中皮腫サポートキャラバン隊」、「肺がん患者の会ワンステップ」などの患者団体の情報を取得したり、サロンなどに参加して関係者と交流することで「同志」をみつけ、治療や療養の経験を共有することができます。

診断後やその後の治療選択で悩みがある場合は、セカンドオピニオンやサードオピニオンによって、複数の専門家による意見を参考にしてみましょう。特に中皮腫は難しい病気ですので、「この先生に任せておけば大丈夫」ということはありません。肺がんについても、個別化治療がどんどん進んでいます。中皮腫も肺がんも日本肺癌学会が発行するガイドラインがありますので参考にしてください。

また、病気の告知を受けたときから多くの患者さんが不安を感じ、大きなストレスにさらされ、うつ状態になることもあります。気持ちの落ち込みが2週間以上続く、食欲不振・食欲過多、不眠・過眠などのサインになります。精神腫瘍科や日本サイコオンコロジー学会の登録精神腫瘍医などの情報を参考にしてみましょう。

医療機関には、呼吸器内科や呼吸器外科などの医師だけでなく、看護師やソーシャルワーカー、薬剤師、心理士など数多くの医療関係者がいます。各病院に設置されている「がん相談支援センター」などを利用して、主治医に相談しにくいことなども相談することができます。

自分以外の人の力を大いに借りて、「患者力」を磨いて、それぞれの「希望」をみつけ、納得した治療選択をしていきましょう。

「仲間」や「同志」をみつける

中皮腫や肺がんなど、同じ立場の患者さんとのつながりをつくり、治療や療養の体験・経験を共有することができます。「中皮腫サポートキャラバン隊」や「肺がん患者の会ワンステップ」などからも情報を得てみましょう。中皮腫患者・家族・遺族のブログ(治療や療養、生活の様子)も参考考にしてください。

製薬会社ノバルティスでは、思春期のお子さんを持つがん患者さん向けの冊子などを作成しています。お子さんがまだお若い場合などに参考にしてみましょう。

信頼できる複数の専門家をみつける

中皮腫や肺がんなど、アスベスト関連の病気は治療法が完全に確立しているわけではありません。医療機関や医師の経験値もことなり、治療方針も専門家のあいだでも意見がわれることもあります。セカンドオピニオンやサードオピニオンは、もちろん他の関係団体が催す専門家の講演を聞いたり、講演動画を確認して広く考えを収集してみましょう。

制度などを最大限活用する

労災制度や石綿健康被害救済制度など、アスベスト関連の病気になった場合にはさまざまな公的支援制度が利用できますし、補償を求める権利も生じます。これらの制度が整備され、権利が確立してきた背景や経過には、これまでの患者さんやご家族のみなさんのご尽力があります。患者のみなさまが制度を利用することで、新たな問題点などが浮かび上がり、改善につながっていくこともあります。

「患者力」を高める

「患者力」についての定義はさまざまありますが、「一人の患者として治療の方針や自分なりの納得した生き方を求めていくために、同じ立場の患者さんや医療者などと適切かつ十分なコミュニケーションを通じて最善の選択ができる力」と言えるかもしれません。書籍やインターネット、信頼できる医療者から適切な情報を多く収集(あるいは、有害な情報を適切に判別する)したり、ピアサポートにかかる講座を受講するなどして患者同士の支え合う力を高めるなどがあります。

家族にできること

大切な家族や友人が中皮腫などのアスベスト疾患になった場合、患者さんと同様に、あるいはそれ以上に大きな不安が襲ってくるかもしれません。「何か希望をみつけてあげたい」という気持ちが膨らんでくるかもしれません。

まずは、診断を受けた患者さん本人に寄り添い、患者さんの気持ちや考えを聞いてみてください。その上で、患者さん本人の希望にそった治療や療養に向けて何ができるかを、医療者や患者団体などの関係者にも意見を聞いて、一緒に考えていきましょう。

不安や悲しい気持ちを患者さんの前で吐露できない場合もあります。そんなときは、近しい友人や知人などはもちろん、患者団体にも家族の立場で参加をされている方、がん相談支援センターの医療関係スタッフなど、誰でも良いので気持ちをさらけだしましょう。必ず力になって一緒に歩んでくれる方がいます。他人に甘え、力を借りましょう。

「仲間」や「同志」をみつける

中皮腫や肺がんなど、ご家族として同じ立場のご家族や、あるいは患者さんとのつながりをつくり、治療や療養の体験・経験をそれぞれの立場から共有することができます。また、ご家族同士では相談しにくい問題なども、適度な距離感や異なる立場があることで相談しやすい場合もあります。支部のあつまりに参加してみたり、「中皮腫サポートキャラバン隊」や「肺がん患者の会ワンステップ」などからも情報を得てみましょう。中皮腫患者・家族・遺族のブログ(治療や療養、生活の様子)も参考にしてください。

参考:中皮腫と診断されて家族にできること

信頼できる複数の専門家をみつける

患者さんの体調が優れず、ご家族の方が代理でセカンドオピニオンやサードオピニオンをうけることもあります。ご家族も専門家の講演を聞いたり、講演動画を確認して広く考えを収集して、患者さんに案内していただくこともできます。治療選択は最終的には患者さんの判断になりますので、情報の押しつけにならないように寄り添う形を工夫してみましょう。各病院に設置されている「がん相談支援センター」や「患者相談室」などはご家族の方も相談することができます。「何を相談して良いかわからないけど、気持ちがつらい・苦しい」という場合は、その気持ちを聞いてもらうこともできます。専門家による家族へのケアに取り組んでいる医療機関もあります。

患者さんと同様に、病気の告知を受けたときから家族の方も不安を感じ、大きなストレスにさらされ、うつ状態になることもあります。気持ちの落ち込みが2週間以上続く、食欲不振・食欲過多、不眠・過眠などのサインになります。精神腫瘍科や日本サイコオンコロジー学会の登録精神腫瘍医などの情報、専門家によるご家族の心のケアなどの講演を参考にしてみましょう。

公的制度等への申請を手伝う

患者さんご自身が治療と並行して公的制度等の手続きを進めていくことは大変です。関係機関への問い合わせや書類の作成などをお手伝いいただくこともできます。

遺族にできること

大切な家族や友人を中皮腫などのアスベスト疾患で亡くされた場合、言葉に尽くしがたい悲しみ、苦しさ、怒り、絶望など、様々な感情が押し寄せてくるかもしれません。そのような感情を自身の力だけで受け止めることは大変で、ときには他人からの心ない言葉によって傷つくこともあるかもしれません。各支部で開催している集いやオンライン遺族サロンに参加して気持ちを「分かちあう」ことができます。一部の医療機関では、ご遺族に対する心理的・精神的な医療的支援にも取り組んでいます。

気持ちを分かち合う相手や場所をみつける

大切な方を亡くされた方々の中には、「アスベスト」や「中皮腫」という文字をみるのもつらいという方も少なくありません。これらが関係する人やモノと一時的に距離をおくことも必要な時期があるかもしれません。

その上で、同じようにご家族など大切な存在の方をアスベストの病気で亡くされた方の中には、同じ立場の方と話がしてみたい、気持ちを分かち合いたいと考えられる方もおられます。各支部の集会に参加したり、オンライン遺族サロン、ブログなどのSNSを通じて気持ちを分かちあえる相手や場所を得ることができるかもしれません。中皮腫患者・家族・遺族のブログ(治療や療養、生活の様子)も参考にしてください。

ときには専門家の力を借りる

ご遺族の方も大切なご家族を亡くしたことによる悲しみや喪失感で、大きなストレスにさらされ、うつ状態になることもあります。気持ちの落ち込みが2週間以上続く、食欲不振・食欲過多、不眠・過眠などのサインになります。

一部の医療機関では、遺族の方へのケアに対して医療的な支援をされています。遺族ケア外来や精神科や心療内科などへの受診が必要な場合もあります。ご家族など患者さんが通院していた「がん相談支援室」などに相談するなどして、適切な医療的ケアを案内してもらいましょう。精神腫瘍科や日本サイコオンコロジー学会の登録精神腫瘍医などの情報、専門家によるご遺族の心のケアなどの講演を参考にしてみましょう。

公的制度等への申請をする

労災制度や石綿健康被害救済制度など、公的支援制度への請求・申請が完了していない場合は検討をしてみましょう。何もする気にならない、何をして良いのかわからないなどの場合も多々あるかと思いますので、遠慮なくご相談ください。

監修・右田孝雄(中皮腫サポートキャラバン隊理事長/日本肺癌学会胸膜中皮腫診療ガイドライン作成委員)

右田孝雄(中皮腫サポートキャラバン隊理事長、日本肺癌学会胸膜中皮腫ガイドライン作成委員)
右田孝雄(中皮腫サポートキャラバン隊理事長、日本肺癌学会胸膜中皮腫ガイドライン作成委員)

私は中皮腫を発症してから5年が経過しました。患者同士で分かり合えることがたくさんあります。前を向いていきましょう。

【経歴】

2016年7月、「悪性胸膜中皮腫、平均余命は2年」と余命宣告。ブログ「悪性胸膜中皮腫と言われてどこまで生きられるかやってみよう!」で情報発信。2017年9月から、故・栗田英司氏らと、「中皮腫サポートキャラバン隊」として全国で患者自身としての体験を語る講演会を開催。2018年から中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会全国事務局、日本肺癌学会胸膜中皮腫(ガイドライン作成班)協力委員

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