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腹膜中皮腫の発病から診断、そして閉院まで(患者手記)

公開日:2022年11月4日

※本執筆は、患者の体験をもとに個人の感想として執筆しています。治療選択など、医療に関わる問題については主治医をはじめ、通院されている病院の「がん相談支援センター」など、医療関係者との相談を踏まえてご検討ください。

執筆:新潟支部・腹膜中皮腫患者 中島喜章

新潟県県央地域で23年間、内科診療所を行って来た2016年夏頃から体重減少に気付き、久しぶりに会う人から『痩せたね』と言われる様になりましたが、服薬していた抗糖尿病薬の効果に体重減少が有り他に症状もなく生活も普通に出来ておりました。

腹膜中皮腫患者中島

秋になり涼しくなっても汗をかきやすく診療中に度々下着を換え、疲れやすく立ち仕事が続かず頻回に腰掛ける様になりました。食欲は普通に有り帰宅後も横になっていれば楽なくらいで、妻にも体調を気遣われ、10月末に自院で血液検査を行いましたが明らかな異常は無く、12月に入り怠さが強く食欲も無くなり、12月14日に39.5℃の発熱と極度の全身倦怠感で、翌15日近くの県立病院を受診、不明熱と全身衰弱の診断で即日入院しました。

全身倦怠感が強く午後になると発熱しその都度解熱剤の坐剤を使用、成分栄養剤を食事の代わりに飲用しアルブミン製剤の点滴も行われ栄養状態の改善が図られました。血液検査で強い炎症反応と低栄養状態が有り、原因検索目的に上部・下部消化器内視鏡検査、血液疾患も疑われ骨髄穿刺と、これまで患者様に行わせていただいた諸々の検査を自ら受けましたが明らかな異常はなく、胸部CTで若干の胸水と腹部CTで体網部の肥厚、それに肝臓周囲と脾臓周囲に低吸収領域を認め、担当医が腹膜中皮腫を疑い実施した腫瘍マーカーの測定でCA125が著増し、同月25日超音波内視鏡を用いて脾臓周囲より針生検が行われました。

2017年(平成29年)1月10日、担当医から面談室で『体網が原発の悪性腹膜中皮腫で肝臓や脾臓周囲に腹腔内播種しており、予後は良くないと思われ専門医での抗がん剤治療が必要です。』と病名を知らされ、その場で新潟大学医歯学総合病院腫瘍内科へ紹介状を作成すると告げられました。同日、妻に電話し病室に来てもらい自分で病名を伝え、ティッシュボックスを取り合う程に泣きながら『何故?これからどうなるの?治療法は?この先は?』など、わからないながら話し合い。その後の一週間は連日、面会に来てくれる妻の目蓋が腫れており家では泣いていたと聞き、妻から『何も心配せず治療に専念して、家族がついているよ』と言われとても有り難かったです。

翌11日、市医師会に病名と閉院を連絡し、診療所職員に同様の事を伝え、同月16日医師会事務局に出向き、医師会会長の計らいで内科系開業医に集まってもらい、自身で病名と閉院を伝え、行ってきた訪問診療や嘱託医、産業医を分担して受け持ってもらいました。利用されていた患者様の事を考えれば当然ですが、皆が積極的に受け持って下さったのは有り難かったです。

同月17日新潟大学医歯学総合病院腫瘍内科を初診し『抗がん剤治療で経過をみます。今後のため石綿救済法の手続きをするように。』と指示が有りました。

腹膜中皮腫の治療と家族や仲間の支え、そして仕事を再開

2017年(平成29年)1月31日同科へ転入院し、2月1日から4週間隔でアリムタ+シスプラチン併用療法を計6回受けました。その都度、胃もたれや多少の嘔気が有り、帰宅後も味覚鈍麻、食欲不振、サラサラ脱毛が有りました。アイスバー(ガリガリ君)や磯辺餅など食べたい物を食べて過ごし、徐々に体調も改善して来たので、「行きたいところへ行こう」と家族で話し、国技館へ家族で大相撲観に行ったり、息子たちと上高地へ日帰り旅行に行きました。 同年7月24日からアリムタ単剤治療を3週間隔で受けましたが、通院治療室の看護師さんからは毎回の様に『仕事はしないんですか?』と言われました。

2018年(平成30年)4月から閉院中の診療所をお借りいただける方がおられ診療所を開院していただいております。同年11月から私が開業医時代に保健所の審査会でご一緒した医療法人の理事長先生からお声がけいただき、同法人の介護老人保健施設に勤務させていただいております。務めてみて、開業医とは異なりますが、医療の一端を担っている感じが有り、生活に張り合いが有ります。仕事を勧めてくれた看護師もこのことを思っていたんだと判りました。

中皮腫サポートキャラバン隊に参加、延命を目指して

2019年(令和元年)秋頃に中皮腫サポートキャラバン隊に参加させていただきコロナ禍で直接お会いする事は出来ませんが、Zoomサロンや講演会の視聴、LINE、ブログで色々な方と知り合えて、治療法や副作用、治療期間、専門医、法的援助などたくさんの事を伺い、心の安定と治療への意欲に繋がっております。Zoomサロンでお話をうかがった事がきっかけで、2020年(令和2年)10月に開腹手術可否を目的に淡海医療センター腹膜播種センター(当時は、滋賀草津総合病院消化器外科)で審査腹腔鏡を受けました。結果は癒着のため手術は困難でしたが、現状が判った事は良かったです。

2020年9月から兵庫医科大学病院が主導した”腹膜・心膜・精巣鞘膜の中皮腫に対するニボルマブ(オプジーボ)の医師主導治験”が全国5施設で行われ東日本では国立がん研究センター中央病院腫瘍内科のみとうかがい、治験参加を希望して2021年(令和3年)4月オンラインセカンドオピニオンを受け、6月から2週間に1回同科を受診しニボルマブ(オプジーボ)の治験を受け、2022年(令和4年)10月20日で36回受けております。

これまでの抗がん剤治療を受けていた間に感じた耳鳴り、足先の痺れ、治験で強くなった四肢の掻痒感を伴った皮疹はこれからも続きますが自制内で、現状の治療を続けながら、家族をはじめとした多くの人達の手助けを受けながら、今の生活を続けていければ幸いです。

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