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アスベスト肺がん:石綿救済制度での不認定が一転、労災認定(会見概要)

更新日:2023年12月14日

公開日:2023年12月13日

本日、石綿救済制度での不認定となったアスベスト肺がんの申請事案が、労災請求では労災認定となった事案について会見しました。

本件概要

2021年2月に肺がんを発症した療養中の男性が、2022年2月にアスベスト(石綿)救済制度の申請の結果、不認定とされた。
その後、男性は死亡し、遺族(妻)が労災請求をしたところ、2023年6月に立川労働基準監督署は労災認定された。
本件請求は、アスベスト救済法の審査において何らの所見も確認できないとされた被災者が労災ではそれが確認されたことにより認定につながった事例。今回のように、救済法で不認定となった方が労災認定されることは珍しく、アスベスト関連制度全体を見渡した際に顕著な、肺がん被害者の未救済・補償状況の要因を考える上で重要な事例と考えられる。

本件被災者の概要

傷病名:肺がん ※喫煙歴有り
傷病発生日:2021年2月(当時79歳)
被災者死亡日:2022年6月(死亡時81歳)
労災請求日:2022年10月(立川労働基準監督署)
労災認定日:2023年6月(立川労働基準監督署)
被災者遺族居住地:東京都内

石綿ばく露歴

被災労働者は、遅くとも1984年3月から2022年4月まで建築物(主に一般家屋)の解体作業に従事してきた。このうち、1984年3月から2019年4月までの35年2ヶ月の石綿ばく露が認められた。なお、上記期間は自営業にて解体作業に従事してきた期間である。

労災認定までの経過

被災者は発病後、環境省の石綿(アスベスト)救済制度へ申請したものの、2022年2月に「石綿を吸入することによりかかった肺がんでないと判定できる」として不認定とされた。救済制度の肺がんの審査においては、放射線画像から「胸膜プラーク」や「肺繊維化」が確認されることが重要であるが、これらが一切確認されないとされた。
不認定後、被災者は死亡。被災者の妻が2022年9月に当会へ相談。10月6日に労災請求。23年6月に労災認定された。

労災認定の理由

①1984年3月から2022年4月まで建築物(主に一般家屋)の解体作業に従事してきた。このうち、1984年から2019年4月までの35年2ヶ月の石綿ばく露が認められた。

②その上で、放射線画像(胸部エックス線検査、胸部CT検査)から「胸膜プラーク」が認められると東京労働局地方労災医員が判断した。

③被災者の石綿ばく露が認められた期間は自営業期間であるものの、2000年から2022年6月まで労災特別加入(第一種(中小事業主等)特別加入者)をしていた。

以上の理由によって業務上認定(労災認定)となった。 

本件労災認定の意義

本件認定は、大多数が救済・補償を受けていない、アスベストが原因の肺がん被害者の救済にとって重要な意味を持つ。
現状、アスベストを原因として発症した肺がんの患者は少なくとも中皮腫(代表的なアスベスト疾患のひとつ)と同数程度いるとされています。国際的には、2倍以上の罹患者がいるとする推計等もありますが、アスベスト救済制度および労災制度などの関係諸制度における救済・補償がされている被災者は2割程度にとどまっている。
この要因はいくつか考えられるが、以下のような理由があげられる。

①アスベストと肺がん発症との関連性が被災者に十分に認識されていない。

②喫煙歴を有している場合、医療関係者に喫煙のみが原因と説明される。

③「胸膜プラーク」などのアスベスト関連所見が的確に診断されていない。
→本件では、環境省は「所見なし」としたが、厚労省は「所見あり」とした。

④労災制度と石綿救済制度で基準が異なり、双方の基準に問題がある。
→一部の例外を除いて、放射線画像のない被災者遺族の救済はされない。一定期間、アスベスト従事歴が認められれば認定すべき。

「救済」制度で認められなかった被災者および遺族は、多くの場合、労災制度で認められるとは考えない。

当該遺族コメント

肺がんになって死亡した夫は長年タバコも吸っていましたが、30年以上にわたって個人事業主として解体工事に従事していました。アスベストの影響があったと考えたことから夫は石綿救済制度の申請をしましたが、それが認められませんでした。
医師からもアスベストの影響があったと言われていたので、夫も私も怒りが収まりませんでした。不認定の数ヶ月後に夫は他界しましたが、私はやはり納得できず、支援団体に相談しました。自営業者でも労災請求できること、救済制度で認定されなくても労災認定される可能性があることを伺いました。やはり、納得できない気持ちを抑えられず、労災請求をすることにしました。請求から半年以上が経過し、労災認定の通知が送られてきたときは驚きとともに、これでやっと国がアスベスト被害を認めてくれたと感じました。ただ、夫が存命中に、この報告ができなかったことが今でも悔やまれます。
私と同じように、一部の制度で認められなかったり、あるいはアスベストとの関係に気づいていない、喫煙を理由に医師からアスベストとの関係を否定されて労災請求などをされていない方も多いかと思います。支援をしてくれる団体もあるので、あきらめずに手続きをしてみて頂ければと思います。

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