お知らせ

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アスベストとじん肺(石綿肺・アスベスト肺)

公開日:2023年10月13日

監修者:医師 平野敏夫(ひらの亀戸ひまわり診療所理事長)

アスベスト疾患のひとつに、「石綿肺(アスベスト肺)」があります。石綿肺は、じん肺という病気の一種です。アスベストとじん肺の関係について解説します。

じん肺とは

じん肺は、粉じんを吸い込むことによって、肺の組織が固くなってしまったり(肺の繊維化)、気管支が炎症を起こして、肺の働きが低下してしまう病気です。一般的には、発症から10年以上にわたってゆっくりと進行し、諸症状があらわれ、最後は心臓にも負担がかかってくるために心不全の状態になる「肺性心」になります。

日本では、江戸時代から確認されている職業病のひとつで、佐渡金山などの労働者に発生していたとされています。

じん肺の症状

じん肺は、状態によって症状の出方が変わります。じん肺の進行があまりない段階では自覚症状はあまりなく、胸のレントゲンを撮らないとわかりません。状態の悪化につれて、以下のような症状があらわれることがあります。
・風邪をひきやすい
・風邪をひいたまま治りにくい
・咳や痰が止まらない
・胸からゼーゼー、ヒューヒューなどの音がして苦しい
・咳で眠れない
・階段の上り下りで息切れをする
・動悸がする
・平地をゆっくりと歩いていても息が切れる
・服の着脱でも息が切れて苦しい
・胸が痛い

じん肺の原因

粉じんを吸い込むことによって発症します。粉じんの種類はさまざまで代表的には、炭鉱や鉱山などの坑夫などの労働者が大量の粉じんを吸い込むことによって発症してきました。トンネル工事の坑内作業、鉄工所などのグラインダーや溶接作業、ガラス工場、陶器工場、鋳物工場なども仕事も発症原因になってきました。穀粉や綿ぼこりなどについても危険性が指摘されています。

これらとあわせて、アスベストを扱う、石綿工場や建設・造船・鉄鋼などの作業従事者もじん肺(アスベスト肺)を発症しています。

なお、粉じんを吸い込む以外の原因(遺伝、感染症、喫煙など)ではじん肺は発症しません。

じん肺の診断

じん肺の診断は、呼吸器内科の医師であっても、経験によっては適切な診断ができません。一定のじん肺患者が、適切な診断を受けずに原因不明の呼吸器疾患などと言われている状況があります。

じん肺の診断は経験豊富な医療機関の医師に診察してもらうことが重要です。

じん肺と合併症

じん肺を発症すると、以下のような合併症にかかりやすくなるとされています。
・気管支炎
・肺結核
・肺炎
・気胸
・気管支拡張症
・肺がん

じん肺の治療

じん肺は治る病気ではありません。固くなってしまった肺を元に戻すことはできません。じん肺を発症した場合は進行を遅らせることと、合併症の治療をしていくことが必要です。気管支拡張剤や鎮咳剤、去痰剤などを用いて症状の緩和に努めます。

また、肺がんを合併することもあることから、早期発見も重要です。

もし、じん肺を発症してしまった場合で現在も粉じん作業に従事している場合は、職場の転換や転職をしてこれ以上の粉じんを吸い込まないようにする必要があります。

また、タバコを吸っている方は禁煙をすることが強く求められます。タバコの煙は気管支を刺激し、症状を悪化される恐れがあります。

風邪をひかないように気をつけることも大切ですが、もし風邪をひいてしまった場合は無理をせずに早く身体を休める必要があります。気管支炎や肺炎を防止することにつながります。

じん肺は感染症ではありませんので、ひとにうつすものではありません。ただし、合併症の肺結核はその可能性があります。

じん肺とじん肺管理区分申請と労災、建設アスベスト給付金

じん肺に罹患された場合、各都道府県労働局から「じん肺管理区分」の決定を受けることができます。診断の結果によって、じん肺管理区分は管理1、管理2、管理3イ、管理3ロ、管理4に分類されます。管理2および3の方(肺結核等の合併症を併発した場合)、管理4の方は労災認定される可能性があります。

また、建設アスベスト給付金や裁判等を通じた慰謝料請求では、管理区分2以上が損害と認められていることから、労災認定の有無と離れて給付金等の支給を受けられる場合があります。

管理1 
じん肺の所見がないと認められるもの

管理2 
エックス線写真の像が第1型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

管理3イ 
エックス線写真の像が第2型で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

管理3ロ 
エックス線写真の像が第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害がないと認められるもの

管理4 
1 エックス線写真の像が第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1を超えるものに限る。)と認められるもの
2 エックス線写真の像が第1型、第2型、第3型又は第4型(大陰影の大きさが一側の肺野の3分の1以下のものに限る。)で、じん肺による著しい肺機能の障害があると認められるもの

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