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建設アスベスト給付金 請求権者の限定は不当 国賠訴訟を提起

公開日:2023年10月4日

監修者:弁護士 伊藤明子
(かけはし法律事務所/兵庫県弁護士会/大阪アスベスト弁護団

給付金の支給対象者に「該当」

一人親方の電工として長く建築現場で働いてきたAさんは、2019年10月に悪性胸膜中皮腫を発症しました。病状の悪化は早く、2020年1月2日に逝去されました。Aさんは独り暮らしであったため、お兄さんのBさんが労災保険の請求を行いました。Aさんは、労災保険の特別加入をしていたため、Bさんに遺族補償一時金が支給されました。

その後、建設アスベスト給付金法が施行されることとなり、Bさんの元に厚生労働省から給付金に関する個別周知が届きました。そこでBさんは、2022年2月22日に「情報提供サービス」の申請を行い、同年6月2日付けで給付金の支給対象者として「該当」するとの通知が届きました。

給付金の請求権者がいなくなった

早速6月13日には、給付金の請求を行ったのですが、Bさんは体調を崩され同年8月7日に逝去されました。

給付金の支給対象者は、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順となっているため、Bさんが亡くなられたことにより、給付金の請求権者が誰もいなくなってしまいました。

建設アスベスト給付金制度は、長年の裁判闘争を通じて全国の原告団と弁護団が勝ち取った制度で、給付金は国の責任を前提とする損害賠償(慰謝料)請求権です。最高裁判決後、損害の迅速な賠償を図る行政救済制度として設けられました。

今回の問題は、①民法上の損害賠償請求権者(相続人)と給付金請求権者の範囲が異なるという問題と、②給付金請求権者が給付金を請求していたにもかかわらず、国が迅速に支給決定を行わなかったために、支給が決定される前に請求権者が亡くなってしまったという問題があります。

建設アスベスト給付金相続

請求権者の範囲と処理の遅さの問題

給付金の問題については、本年7月12日に行われた、中皮腫・アスベスト患者・患者と家族の会と厚生労働省との交渉においても取り上げられました。

情報提供サービスを申請しても、その後の給付金請求を行っても、「時間がかかり過ぎる」という声や、「追加の資料提供を次々と求められる」「請求を行ったが何度も『取下げてはどうか』と言われた」という相談が数多く寄せられているからです。

今回の請求権がなくなった件についても、交渉において厚労省に回答を求めました。「ちょっと時間を要していたというのは…大変申し訳なく思っている。以前に比べて、人員を増やしたりとか…弾力的に人員体制を組んだりとか…何とか迅速な認定審査に努めてまいりたいと思います。」と今後の決意だけが述べられました。

9月6日、Aさんの遺族であり、国に対する損害賠償請求権を相続した法定相続人が原告となり、国に対する国家賠償請求訴訟を神戸地裁に提起しました。

提訴後の会見において、Aさんの姪にあたるDさんは、「父が亡くなったと厚労省に連絡を入れた際、『これで終わりです』と言われショックだった。」「叔父とはずっと一緒に生活していて、私にとっては父のような存在だったが、国に家族ではないと言われている気がした。」「請求者である父が亡くなるのを待っているのかなと思うことがあった。そういう思いをさせないでいただきたい。」と訴えられていました。訴訟へのご支援をお願いします。

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