お知らせ

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中皮腫や肺がんなどのアスベスト疾患における「がん相談支援センター」の役割

公開日:2023年2月14日

一人で悩んでおられませんか?

私は、病院の中で患者さんやご家族の「こころと暮らし」に関する不安や困りごとを一緒に考え支援する、ソーシャルワーカーという専門職です。兵庫医科大学病院の医療社会福祉部に所属し、院内のがん相談支援センターを兼務しています。皆さんは「がん相談支援センター」をご存じでしょうか。「存在は知っているけれど、何を相談に行ったらよいのか分からない」というお声があると、患者と家族の会の方から伺いました。そこでこの場をお借りして紹介させていただきます。

がんとこころのケア

現在、国民の2人に1人が一生のうち何らかのがんにかかると言われています。診断や治療技術の進歩と共に生存率は年々向上し、必ずしも死に直結する病ではなくなってきたものの、病気を抱えることは心身両面に大きな衝撃をもたらします。中皮腫・アスベスト疾患と診断された患者さん・ご家族も、「なぜ自分が…」と、今まで経験したことのないような不安や落ち込みや怒りを感じられたことと思います。

病名告知や再発、病状の進行を告げられた時、こういった「不安」や「落ち込み」の強い状態がしばらく続くことは、誰にでも起こることです。「このつらさがずっと続くなら死んでしまいたい」と思われることもあるでしょう。しかし人の心は回復していく力があって、ショックや動揺は多くの場合、時と共に少しずつ和らぎ、徐々に困難を乗り越えて適応していこうとする力が働き始めます。そのためには我慢せず、家族や親しい友人などに気持ちを吐き出すことが一つの方法です。それでも日常生活にも支障があるほどのつらさが続く場合は、専門家によるこころのケアが必要です。

また、患者さんのご家族も、大切な家族が発病したつらさを抱えながら、患者さんを支える役割もあり、「しっかりしなければ」と自分の気持ちを抑えてしまいがちです。ご家族の不安や落ち込みの程度は、患者さんと同じかそれ以上であることが分かっています。相談支援センターでは中皮腫の患者さんのご家族のつらいお気持ちを伺うことが多くあります。家族は「第二の患者」とも言われており、患者さんと同様に支援が必要な存在です。

「がん相談支援センター」にご相談ください

全国で質の高いがん医療が受けられるよう一定の基準を満たし厚生労働大臣が指定した「がん診療連携拠点病院」「小児がん拠点病院」「地域がん診療病院」には、がんに関する相談支援の窓口である「がん相談支援センター」が設置されています。対応するスタッフは、国指定の研修を修了した、がんについて詳しい看護師や、こころと暮らし全般の相談ができるソーシャルワーカーなどです。患者さんやご家族だけでなく、どなたでも無料でご利用いただけます。

がん相談支援センターは現在全国に451施設あります。その中でさらに「認定がん専門相談員」を2名以上配置し、支援サービス・相談対応・体制整備の質向上等において一定の要件と基準を満たしていると国立がん研究センターの認定を受けた施設が「認定がん相談支援センター」です。2021年3月現在全国で26施設ですが、兵庫医科大学病院のがん相談支援センターは2017年度に認定を受けています。

認定がん相談支援センター

兵庫医科大学病院のがん相談支援センター紹介

看護師とソーシャルワーカーが、がん患者さんとご家族ご遺族を対象に、面談と電話でご相談を受けています。治療、療養生活、心のこと、経済面等の不安や困りごとを軽減し、安心して治療・療養ができるよう支援しています。病気や治療については、医師に代わって判断するのではなく、糸口を一緒に見つけ出すことを助けます。直接の解決には繋がらないこともありますが一緒に考えます。まずは一人で悩まずにご相談ください。匿名相談も可能で、他者に知られたくないとの心配やご不安も含めて、配慮しながら相談にあたらせてもらいます。

「がん情報コーナー」では、各種がんに関する冊子やパンフレットの閲覧・配布をし、がんに関する図書や診療ガイドライン・DVDの閲覧・貸出もしています。参加者同士が語り合うがんサロン「わかばサロン」「ぬくもりサロン」を月2回開催しています。治療に伴う外見支援として、ウィッグ等の展示と「アピアランスケア相談会」を月1回開催しています。また、就労(家事労働も含む)支援として、院外のファイナンシャルプランナーと社会保険労務士とともに【がん治療生活を支える~仕事とお金のお悩み相談会~】を月1回開催しています。

(※現在は、新型コロナ感染拡大防止のため、がんサロンとアピアランスケア相談会は休止中。仕事とお金のお悩み相談会はオンライン開催)

がん相談支援センター

がん相談支援センター

がん相談支援センター

 

 

 

 

 

 

病気と上手に向き合っていくためには

不安や困りごとを軽減して病気と上手に向き合っていくために大切なことは、「こころのサポート」「情報のサポート」「生活のサポート」を受けることではないかと思います。「こころのサポート」は、まず信頼している人や相談員や医療者に気持ちを十分に話すことです。話を聴いてもらうことはつらさの軽減に大変に役立ちます。「情報のサポート」は、治療や副作用について適切に理解し情報を得る支援により自己決定を助けます。「生活のサポート」は、制度や資源の活用により療養生活を整えます。そしていずれも「相談する」ことが大切です。

 相談支援を受けられる場としては、「がん相談支援センター」や、ソーシャルワーカーのいる「医療社会福祉部」等の医療者による専門的支援と、同病者・体験者との交流であるピアサポートがあります。「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会」は、ピアサポートにおいて大きな役割を担われています。私達医療者による専門的支援とはまた別の立場で、中皮腫・アスベスト疾患体験の専門家として、体験者同志が体験や感情を共有することで、深い共感により孤独感が軽減し、実体験に即した経験的知識が得られるなどのサポートが受けられます。

患者と家族の会から、心理社会的支援が必要な患者さん・ご家族を紹介いただいたり、私達から診断直後の不安と恐怖で一杯の患者さんご家族を紹介し、その後明るい表情で「会に参加して救われた。どれだけ支えられているか」というお声を聴きます。これからも、中皮腫・アスベスト疾患の患者さんとご家族の、こころと暮らしを共に支えるチームとして、協働させていただきたいと思います。

兵庫医科大学病院 がんセンター がん相談支援センターの利用方法

相談受付

月~金10:00~15:00  土(予約の方のみ限定;要相談)

*休室日:第2・4・5土曜・日曜・祝日(除く「敬老の日」「成人の日」)・年末年始

対象

がん患者さんとご家族 ご遺族の方

相談方法

面談・電話

相談場所

兵庫医科大学病院8号館4階 がんセンター内

がん相談支援センター がん診療支援室

その他

相談料は無料。匿名相談可能。プライバシーは遵守します。

予約方法

0798-45-6762(直通)*予約優先だが直接来院も可能。 

 

執筆者:医療ソーシャルワーカー・認定がん専門相談員 三浦 恵里子
               (兵庫医科大学病院 医療社会福祉部)

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