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アスベスト肺がんとわかったのは約4年後(患者手記)

公開日:2026年1月10日

執筆:関東支部 髙橋廣行

※本執筆は、患者の体験をもとに個人の感想として執筆しています。治療選択など、医療に関わる問題については主治医をはじめ、通院されている病院の「がん相談支援センター」など、医療関係者との相談を踏まえてご検討ください。

皆様、こんにちは。同じ病と闘っておられる皆様へ、私の経験を少しでもお伝えしたく、筆をとりました。髙橋廣行、76歳です。千葉県千葉市在住です。

私が肺がん(左肺の上葉腺がん)の疑いがあると病院にかかったのは、今から6年ほど前の2019年3月のことでした。同年6月には確定診断を受けました。そして約3年前に、今度は右肺に再発しました。

再発時、放射線治療を4回受けました。その後、炎症が2、3年続きましたが、今は経過観察中です。幸いなことに、最近はがんがそれほど大きくなっていないという状態で、今日を迎えています。

私の治療の特徴として、最初から抗がん剤は使わず、重粒子線による放射線治療のみを受けました。これは、最初にかかった千葉労災病院からQST病院に紹介されたためです。

私は24歳頃から建設業でアンカーの仕事、つまりコンクリートに穴を開けてボルトを入れる仕事に従事してきました。床、壁、天井など、様々な場所に穴を開ける作業です。当時は、今のように安全に対する意識が高くなく、ろくな防じんマスクもつけていませんでした。せいぜいタオルを巻いている程度でした。

現場では、コンクリートの細かい粉じんがものすごく舞っていました。そして、さらに厄介だったのが、吹き付けアスベストが使われた天井や間仕切りに穴を開ける作業です。天井に穴を開ける際は、下から上を見て作業するのですが、開けると、その粉がバラバラと降ってきます。それを吸ってしまったのだと思います。大工さんなど、他の職人さんは埃がひどいときは避難してしまうのですが、私はその粉じんの中でドリルを使って作業していました。

私がアスベスト被害者として労災請求できる可能性があると知ったのは、病気が分かってからずいぶん後のこと、2022年12月のことでした。テレビでアスベスト訴訟や患者と家族会の活動を知り、ホットラインに電話をしたのがきっかけです。

実は、診断を受けた2019年3月から、相談をするまでの間に3年以上も経過していました。これが後で大きな問題になるとは、当時は夢にも思っていませんでした。

私はずっと、自分は「一人親方」で自営業者だ、という意識がありました。労災といえば会社勤めの人が対象になる、と思い込んでいたのです。実際、他の患者さんの中にも、労働基準監督署に行っても「一人親方は労災対象になりません」と言われてしまう方が多いと聞きました。

しかし、患者と家族会の方々が私の働き方を詳しく聞いてくれたところ、違う事実がわかったのです。確かに、現場の面積に応じていくら、という請負の仕事(1箇所いくら)もありましたが、半分ぐらいは「1日いくら」という形で、指示を受けて働いていた時期があったのです。これは、労働者と見なされる可能性がある働き方でした。

このアスベストを吸ったという事実について、実は病院は知っていました。千葉労災病院にかかった時の書類には、アスベストを吸った証拠とされる「胸膜プラーク」(胸膜肥厚斑)の所見がすでに見られていたそうです。にもかかわらず、病院の先生方は、私に「労災請求をした方がいい」とはっきり教えてくれることはありませんでした。

もし、もう少し早く労災請求ができていれば…と悔やまれることがあります。

労災の請求には期限があり、病気になってから働くことができない状態が続いた場合に支払われる「休業補償」については、必要な日から2年が経過すると時効になってしまうのです。私が患者と家族会に相談した時には、すでに発病から3年以上が経過しており、残念ながら、休業補償の権利の一部は時効になってしまっていました。

本当に、私のように労災の知識が全くない人間にとって、家族会のサポートはまさに命綱でした。労災請求は、私一人では絶対にできませんでした。

私事ですが、実は1年半ほど前、がんが少し大きくなり、治療に対しても「もういいかな」と、投げやりになっていた時期がありました。その時も患者と家族会の方が、「髙橋さんの労災が認められたらお金も入ってくるんだから、治療できるならした方がいいし、長生きした方がいいですよ」と、私の人柄を見て話してくれました。

その言葉でハッとして、なんとか頑張ろうと思えたのです。本当に助けられました。

そして、おかげ様で労災認定を受け ることができました。年金も少ない建設業の一人親方だった私にとって、労災の給付は生活を支え、治療を続ける上での大きな心の支えになっています。

肺がんだけでなく、アスベストの病気と闘う皆様、どうか諦めないでください。そして、私のように「一人親方だから」「自営業だから」と勝手に決めつけず、少しでも建設業やアスベストに心当たりのある方は、すぐに患者と家族の会に相談してください。

皆様の中には、病院でアスベストを吸った所見が見られていても、私のように知らされていない方がいるかもしれません。自分の権利の一部が時効になってしまう前に、一刻も早く行動を起こして欲しいです。

私も自分の寿命と向き合いながら、何とかプラスアルファで長く生きられるよう、これからも頑張ります。

皆様も、どうかお体を大切に。そして、一人で悩まず、助けを求めてください。

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