お知らせ

お知らせ

造船等アスベスト被害の国家賠償請求訴訟 :札幌2次提訴

公開日:2024年2月17日

執筆・弁護士 段林 君子(桜花法律事務所/札幌弁護士会)

令和6年1月17日、造船工事及び船舶の補修工事の際に石綿取扱い作業に従事したことにより、石綿疾患(腹膜中皮腫)に罹患した元従業員(被災者1名)と、船舶修繕作業に従事して良性石綿胸水にり患した元従業員の遺族(妻)が、国に対して、アスベスト被害に関する損害賠償として、それぞれ1430万円(慰謝料1300万、弁護士費用130万円)の支払いを求めて、札幌地方裁判所に提訴しましたのでご報告を致します。

造船アスベスト被害に関する国家賠償請求訴訟は、令和5年2月10日に、札幌地裁で第一次提訴をしており、今回は二次提訴となります。

中皮腫を発症した造船被害 

提訴されたAさんは、(株)新潟鐵工所に雇用されていた元従業員の方で、昭和46年3月から昭和60年3月にかけて、新潟県内等で造船時や船舶修繕時に鋼板のガス溶断や簡単な溶接作業に従事されました。

Aさんは、ガス溶断や溶接の際に石綿布を使用した際や、他の職人が隔壁の石綿吹付材を剥離する際、パイプ等に施工された石綿布や石綿蒲団の剥離作業の立ち合いの際、他の職人の石綿吹付作業、石綿建材の切断作業の付近で作業をした際等に、石綿粉じんに曝露しまた。これらの石綿ばく露が原因で悪性胸膜中皮腫にり患しました。

Aさんは、造船アスベスト被害は建設給付金制度の救済対象から外されていることについて、造船の作業と建設作業は似たようなことをしており、船は動く建物のようなものなのに、造船被害者を救済の対象から外すのはおかしい、造船現場には多くの石綿が使用されており、自分以外にも多くの被害者がいると思われることから、この裁判で、他の人の救済に繋がれば良いと仰っています。

良性石綿胸水で死亡した造船被害

もう一人の原告のBさんは、根室市の水産会社で船員として雇用されて機関長として乗船し、漁期を待つ間、ドック内の船舶で船舶修繕作業に従事していた元従業員であるCさんのご遺族(妻)です。

Cさんは、昭和29年4月から昭和56年11月まで、整備員として船体の機関部の排気管に防熱対策として石綿を巻き付ける等の作業に従事しました。

昭和61年以降は別の会社に機関長として勤務されましたが、当時も乗船中に随時船舶の機関部のメンテナンスの際に石綿に曝露したと思われます。Cさんは、これらの石綿ばく露が原因で、良性石綿胸水を発症し、同疾患が原因で亡くなりました。

Bさんは、夫であるCさんが病気で苦しんで亡くなっていったことについて、今も悔しさや悲しみを抱いておられます。Bさんは、同じ被害に遭われている方の救済に繋がればという想いで本件提訴を決意されました。

救済制度の創設に向けて

私達は、現在国が救済の対象から外している造船(船舶修繕)によるアスベスト被害について、救済制度を創設させるために訴訟提起をしました。建設アスベスト給付金制度が創設されるに至るまで、各地の裁判所で1000人以上の被害者やその遺族が国を相手に訴訟提起しました。

本件提訴の時点で、造船アスベスト国家賠償請求訴訟で提訴した方は、大阪地裁で継続中の訴訟と併せて被災者単位で10名、原告単位で13名となりましたが、救済制度の創設に繋げるには、多くの方が訴訟に参加されることが望ましいと考えています。もし造船や船舶修繕作業でアスベストに曝露して病気になられた方がおられましたら、訴訟への参加をご検討してみてください。

北海道造船アスベスト訴訟に対する問い合わせ先

電話 011-596-8251(弁護士 段林)

24時間365日受付

中皮腫・アスベスト被害全国無料相談

当サイトへのご相談・お問い合わせはこちらからご連絡ください。

中皮腫・アスベスト被害全国無料相談

0120-117-554

24時間365日受付