5.ピアサポート ―ロールモデル

 ピア・サポートの特徴として、「体験にもとづく共感」「 体験的知識」「支援し合う関係」を紹介してきました。最後に、「ロールモデル」について説明します。

 ロールモデルの「ロール」は「役割」、「 モデル」は「手本」という意味です。ピア・サポートにおけるロールモデルとは、同じ体験をした人の言動を見て手本にしたり、逆に自分がほかの人の手本となったりすることです。

 アスベスト被害で考えてみましょう。手本になる言動としては、アスベスト関連疾患との向き合い方、治療法の選択、症状への対処方法、日常生活の過ごし方、などが挙げられます。また、患者と家族の会の中では、労災申請や企業補償、訴訟についての考え方や動き方、専門家とのつきあい方などについても、すでに経験のある人の歩んできた道やその人の姿が手本となり、新しいメンバーにとっては目指すべき目標となっていることと思います。また、自分の体験を生かして活動してくれている患者と家族の会の方々の、他者のために貢献するその姿が手本となり、自分にも何か手伝えることはないかと思う人が後に続いていくきっかけとなっていることでしょう。悪性胸膜中皮腫などの病いに向き合い、懸命に生きている姿そのものが、生き方の手本となることもあるのです。

 ここまで説明してきた内容は、きっとみなさんが日々感じてらっしゃることでしょう。整理することで、自分たちの活動の意義を実感する一助となればと思います。

 ひとりでは出来なくても、互いに支え合い、当事者が自ら声をあげることでできることがたくさんあります。同じ立場の者どうしが支え合うことで大きな力を発揮することができます。

 患者と家族の会の支え合いの力で、一人でも多くの方の苦悩が緩和され、社会に変化をもたらすことを願っています。

(相談役 北星学園大学 大島寿美子) 

(第104号 2015年1月掲載)

※ がんに関わるピア・サポートについてまとめた本を2014年12月出版しました。本書の内容についても触れています。ご関心のある方はどうぞご覧ください。

『がんサロン ピア・サポート実践ガイド』
大島寿美子・木村恵美子

1620円、 アマゾン等で購入可能です。

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