4.ピアサポート ―支援し合う関係―

 ピア・サポートの特徴を(1)「体験にもとづく共感」(2)「 体験的知識」(3)「支援し合う関係」(4)「 ロールモデル」の4つに整理し、「 体験にもとづく共感」「 体験的知識」について解説してきました。今回は「支援し合う関係」について説明します。

 「支援し合う関係」とは、「 支援する人」と「支援される人」という固定的な関係ではなく、対等な立場で互いに支え合う関係であるということです。自分の体験が誰かの参考になることもあれば、人の話を聞くことで自分の問題解決につながることもあります。ほかの人が困難を乗り越えようとする姿に感動することもあれば、自分の体験が誰かを勇気づけることもあるのです。ひとりの人が時には誰かを支える立場になり、時には支えられる立場になります。

 自分の体験が誰かの役に立つことを実感することは、自分の体験を価値のあるものとして捉え直すことにつながり、自尊心の向上をもたらします。また、ほかの人の問題に意識を向けることによって、自分の問題を別の見方で見ることができるようになります。支える側が、支えられる側よりも多くの贈り物をもらうことさえあるのです。誰かを支えているつもりでいたのに、結果的には自分が学ばせてもらっていることに気づくこともよくあります。自分が得ているものへの気づきと感謝が、人としての成長をもたらします。

 患者と家族の会の会員には、労災申請や裁判などに取り組んでいる人もいれば、中皮腫や肺がん、石綿肺などで闘病中の人、国の対応がされていない補償の充実を求めて活動している人など、さまざまな状況の人がいます。同じ状況の人同士、あるいは状況は違っていても同じアスベストの被害者同士、話をする中で情報を提供したりもらったり、気持ちを分かち合ったりしていることと
思います。

 一方で、自分の問題は解決したり、状況が落ち着いたという人もいます。中には会を退会される人もいますが、「 自分の体験が何かの役に立てば」と世話人を引き受けたり、発送の手伝いをしたり、分かち合いの集まりの準備をしたり、新しく相談に来られた方の対応をしたりしてくれる人もいます。このような人々の力が患者と家族の会の活動の大きな支えとなっているのです。

(相談役 北星学園大学 大島寿美子)

(第103号 2014年12月掲載)

< 前のページ | 次のページ >

Copyright © 2004-2016 JAMARDVF. All rights reserved.