2.ピアサポート ―体験にもとづく共感―

 ピア・サポートが共通の体験を持っている人々の支え合いであることを説明しました。それぞれが問題を抱えていたり、困難に直面しているにもかかわらず、立場が同じ人々がコミュニケーションをとることで、癒やされたり、元気がでたり、問題解決につながったりするのはなぜでしょうか?

 ピア・サポートの最大の強みは「同じ立場である」、「 同じ体験をしている」こと。そのことこそが、専門家や支援者にはできない力を生み出すのです。同じ立場の者が持つ強みを(1)「体験にもとづく共感」(2)「 体験的知識」(3) 支援し合う関係」(4)「ロールモデル」という4つに整理してみました。

 今回は(1)「体験にもとづく共感」についてアスベスト被害を例に説明します。 同じアスベストの被害にあったからこそわかり合える、あるいは、同じ病いを自分が(家族が)体験したからこそわかり合える、という感覚です。患者と家族の会では、アスベストの被害者や家族、遺族が集いを開いていますが、そこで自分と似た体験をしている人と出会い、自分について語り、ほかの人の話しに耳を傾けるなかで、深い共感が生まれます。

 同じ体験をしたことのない人に励まされると「あなたにはどうせわからないでしょう」と反発したくなるのに、同じ言葉を同じ体験をした人から言われると胸にすとんと落ちる、そんなことはありませんでしたか。簡単に言うと、これが「体験にもとづく共感」です。

 自分の体験や気持ちを話したときに「そうそう、私も」とほかの人から理解してもらえることや、ほかの人の話を聞いたときに「私もそうだった」と思うことを通じて、「 自分だけじゃない」ということに気づき、孤独感が緩和されます。理解してもらえたと自分の存在を受け入れてもらえたという実感をもたらします。他者に受け入れられたという感覚が、自己否定の気持ちを和らげ、自分を受け入れることにつながっていきます。体験したからわかる、体験していない人にはわからないという思いが、体験者どうしの深い共感を生み出します。 

(相談役 北星学園大学 大島寿美子)

(第101号 2014年10月掲載)

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