1.ピアサポート(互いに支え合うことの意味)とは何か

 患者と家族の会には、アスベストが原因でご自身やご家族が病気になってしまった方々、アスベスト関連疾患でご家族をなくされた方々が数多くいらっしゃいます。この会は「アスベスト被害」という共通の体験を持つ方々が互いに支え合える全国唯一の場です。私はこれまで北海道支部の設立と運営をお手伝いしてきました。また北海道でがん患者の支援活動にも携わってきました。そうした活動を通して、共通の体験を持った人々が互いに支え合うことがいかに大切か、難しい問題を乗り越えたり、元気になったりすることにどれだけ役立つかということを実感してきました。これまでの経験と研究を踏まえて、これから3回にわたり、互いに支え合うことの意味について書いていきたいと思います。

 今回は「ピア・サポート」とは何かについて説明します。ピア・サポートは英語の"peer support"をカタカナにしたものです。" peer"は"equal(同等)" を意味するラテン語を語源としており、「 同等の者」「 同じ立場の者」という意味です。具体的には「仲間」「 同僚」「 同輩」などがこのような関係にあたるため、日本では"p e e r"を「仲間」と訳している場合も多く見られます。" support"は「サポート」というカタカナ語として日本語化していますが、簡単に言うと「支えること」という意味です。従って「ピア・サポート」という語の意味は「同じ立場の者どうしの支援」ということになります。

 誰かが何かの問題や課題を抱えたときに行われる支援には、専門職による支援、周囲の人々による支援などがありますが、ピア・サポートでは「同じ立場の者」、つまり「共通の体験を持っている人々」の間で支援が行われるところに最大の特徴があります。アスベストの被害で考えてみましょう。自分や家族が悪性胸膜中皮腫になってしまった、胸膜肥厚斑があると診断された、家族がアスベストによる病気になり、闘病の末に亡くなった…。このような体験をすると、多くの人はつらい気持ちになったり、どうしていいかわからなくなったり、日常生活がそれまでと一変してしまうなど、さまざまな困難に直面します。

 そんなとき専門家による支援はとても心強いものです。しかし、同じ体験を持つ者どうしのピア・サポートも、つらい気持ちや無力感を和らげ、自分なりに問題に対処していく力を与えてくれると言われています。それはなぜでしょうか? 第2項で説明します。

(相談役 北星学園大学 大島寿美子)

(第99号 2014年7月掲載)

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