中皮腫・アスベストの病気のこと

治療・療養のために知っておきたいこと

治療・療養のために知っておきたいこと

更新日:2022年11月24日

公開日:2022年2月25日

余命・予後

中皮腫では、診断時に「余命2年」や「予後は悪い」という趣旨の説明が医師からされることがあります。なかには、「余命半年」と言われる中皮腫患者さんもいます。たしかに、中皮腫は厳しい病気でありますが、実際に10年以上の長期療養者の方がおられます。組織型、腫瘍の発生部位、ステージ(病期)、転移の有無や状況、患者自身の基礎的身体状態、薬物治療の治療効果など、さまざまな要因によってことなります。

セカンドオピニオン

中皮腫は肺がんと比べると患者数が少ないことから、特に手術については件数がことなります。肺がんと比べて、薬物療法は限られていますが、胸膜中皮腫ではオプジーボとヤーボイの併用療法が保険適用され、少なからず治療選択の判断が必要となってきました。肺がんは、近年では治療環境が大きく変化してきており、個別化医療も進んできています。専門家によっても診断や治療選択において見解が異なる場合があります。複数の経験豊富な医療機関や医師の意見を聞くことは治療方針の選択にとても大切です。

治療と副作用

手術、薬物療法、放射線治療などすべての治療には合併症や副作用が認められます。中には「命にかかわる」ものもあります。これらについて完全に予防・防止することはむずかしいですが、経験豊富な医療機関において適切な指導を受けることが大切です。分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬では、抗がん剤とはことなる特有の副作用が生じることがあります。気になる症状が出た場合は自己判断せずに、すぐに主治医や医療機関に相談して対処することで影響を小さくできる場合もあります。

補完代替療法

中皮腫や肺がんと診断された患者さんの中には標準治療をしないことを選択し、薬物療法や放射線治療以外の医療をおこなう方もまれにおられます。また、標準治療と並行して用いる方もおられます。漢方薬、鍼灸、運動療法、健康食品やサプリメントなどがそれにあたります。まず、補完代替療法で「がんの進行を抑制したり、がんを消滅させた」という効果が科学的に実証されたものはありません。一部のものについては安全性が確認されているものもありますが、標準治療の効果を妨げたり、身体的な害を及ぼす場合があります。必ず主治医や薬剤師などの専門の医療スタッフと相談をして慎重に判断してください。患者さんやご家族の「ワラにもすがる思い」につけ込んで、科学的な根拠のないものが勧められることはめずらしくありません。

治験

中皮腫や肺がんなどでは治験が実施されていることもあります。治験は、「最新の治療」ではありません。治験の段階によっても目的がことなります。第Ⅰ相臨床試験では、くすりの適切な投与量や安全性について調べます。第Ⅱ相臨床試験では、くすりの効果や副作用の程度について調べます。第Ⅲ相臨床試験では、多数の患者さんを対象にくすりの効果や安全性、使用方法について確認をします。臨床試験の結果で、効果がみられなかったり、副作用が強いことなどが確認され、中止される臨床試験も少なくありません。治験を検討する場合は、主治医や実施医療機関の医師の意見を必ず聞き、その他の専門的な医師や患者団体等を通じて関連する治験が海外等で実施されているのかなどの情報を確認するようにしましょう。

リハビリテーション

がん治療とリハビリテーションの関係については十分に普及が進んではいませんが、治療・療養を進める上で基礎的な体力を維持することは大切です。日本リハビリテーション医学会が発行している「がんのリハビリテーションガイドライン」では、がん治療におけるリハビリテーションの目的として、①予防的、②回復的、③維持的、④緩和的なものがあり、個々の患者さんの治療方針や状態によって目的がことなります。主治医やがん相談支援センターなどを通じて、リハビリテーション専門のスタッフの指導や助言を受けることができます。

食事

サプリメント等の栄養補助食品などをのぞいて、通常範囲での食事は基本的に制限されず、栄養などのバランスについて細かく気にせず、「食べられるときに、食べられるものを食べる」ことが大切です。薬物療法の治療中には、副作用を誘発・悪化させやすい食品もあります。必要に応じて、病院の管理栄養士などの指導も受けるようにしましょう。

人生会議(ACP)

「もしも」のときにそなえて、医療者と介護者、家族と話し合いを重ねて患者さん自身がのぞむ医療やケアについての考え方を共有する取り組みが「アドバンスケアプランニング(ACP)」で、日本では「人生会議」と呼び名が決められました。有名なタレントによる啓発広告について物議を醸したこともあり、ご記憶にある方もいるかもしれません。人生会議の意義や目的についてはまだまだ理解が普及しておらず、さまざまな議論も継続している段階です。

「正しい情報」

「がんが消えた」などをうたう治療法や代替療法に関する書籍やインターネット内の情報があふれています。科学的根拠のない「デマ」や「トンデモ医療」が多くあります。保険診療における標準治療は、科学的な実証を経てきた「ゴールデン・スタンダード」とも言われる最良の治療です。その中でも、判断が難しい場面や治療に行き詰まってしまう場面があります。国立がん研究センター「がん情報サービス」や日本肺癌学会が発行しているガイドラインやガイドブックにおける基本情報を踏まえて、信頼できる医療者の情報を得るようにしましょう。

がん相談支援センター

全国の「がん診療連携拠点病院」等に設置されている相談窓口です。がんに関する質問であれば、治療や生活など、どのような内容でも無料で相談することができます。また、治療を受けている病院以外でも利用でき、患者さんや家族など誰でもが相談することができます。

がん情報サービス

国立がん研究センターが運営している、国内で最も信用のおけるがん情報サイトです。がんに関してネットで調べたいときには、まずここにアクセスすることをお勧めします。

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