悪性胸膜中皮腫の
新しい治療薬

会相談役(内科) 名取雄司

 悪性胸膜中皮腫は、今まで生存期間を延ばす事が明らかな治療方法がなく、多くの人を悩ませてきました。その中で2003年5-6月に発表され7月に論文が出た抗ガン剤ペメトレキセド(Pemetrexed)、アメリカでの商品名アリムタが、2004年2月5日米国食品医薬品局により悪性胸膜中皮腫への治療薬として承認されました。

 悪性胸膜中皮腫の患者さんに抗ガン剤であるシスプラチンの単独投与222名の平均生存期間が9.3ヶ月であるのに対して、シスプラチン+アリムタ投与の226名では平均生存期間は12.1ヶ月でした。開発当初は副作用による死亡者もあったようですが、葉酸とビタミンB12の併用により解消され、抗ガン剤としての副作用は白血球減少や嘔吐等が10~28%程度の人に認められています。この治療の2年以上の生存者の比率は悪性胸膜中皮腫の方の全体の2割以下ですので、病気を「治す」薬と考える事は現段階では早計です。この薬単独投与と支持療法(緩和ケア)のみとの比較試験で、生存期間の延長が確認されれば、今後の標準的治療になりうる治療薬が登場した事になり、多くの方にとり朗報となる可能性がある薬だと思います。

 この薬の日本での試験を担当されている方に伺ったところ、悪性胸膜中皮腫の方への大事な薬である事を十分認識されているとの事でした。薬の開発には第1相から第3相までの試験段階があり、現在は少数の患者さんに行う第1相が終了間近であり、第2相が準備中との事でした。なお、抗ガン剤の場合第2相試験終了後に申請を行い、その後1年から1年半で承認がなされ、一般に使用が可能となるとの事です。

 多くの方にとって期待される大事な薬であり、試験期間の短期化や試験後の薬の使用等、中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会として、行政へ色々と働きかけを行う必要性を痛感しています。5月以降会として実施予定の要望アンケートにも、この薬の事を含めて盛り込む必要があると思います。詳しい内容は、相談役名取までお問い合わせ下さい。

(この文章は、2004年4月に記載されたものです。)

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