お知らせ

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石綿健康被害救済制度における治療副作用および続発症の 公費負担医療の運用に対する抗議及び面談の申入れ

石綿健康被害救済制度は、石綿による健康被害を受けた方を迅速に救済するための制度です。しかし現実には、認定疾病の治療に伴う副作用や続発症について、他科・他院を受診した際に公費負担の対象となるのか明確な説明がないまま、患者が医療費の自己負担を求められたり、受診をためらったりする事例が生じています。

今回の要望書に係る本件では、主治医の指示に基づいて受診していた歯科診療について、機構から医療機関に対する説明が途中で変更され、その結果、患者が予定していた受診を取りやめざるを得ない状況となりました。これは、単なる窓口や書類上の行き違いではありません。制度の取り扱いが明確でないこと、関係機関の説明が統一されていないことによって、患者の受療継続と制度を利用する権利が損なわれる問題です。

当会は、これまでも省庁交渉や意見交換の場で、治療に伴う副作用や続発症、他科・他院での診療について、患者が不利益を受けない運用を求めてきました。また、2026年に実施したアンケートでも、同様の自己負担問題が複数の患者・家族から報告されています。

この問題を一人の患者と一つの医療機関の問題として終わらせず、制度運用全体の課題として明らかにするため、当会はNPO法人中皮腫サポートキャラバン隊と連名で、環境省及び独立行政法人環境再生保全機構に対し、抗議と面談の申入れを行います。

以下に、今回提出する要望書を掲載します。環境省及び機構には、これまで示してきた説明との整合性を確認し、今回の対応に至った経緯と根拠を明らかにするとともに、患者が安心して必要な治療を受けられる、統一的で明確な運用に改めることを求めます。

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2026年9月10日

環境省大臣官房環境保健部企画課
石綿健康被害対策室長 殿

独立行政法人環境再生保全機構 理事長 殿
同 石綿健康被害救済部長 殿

NPO法人中皮腫サポートキャラバン隊
理事長 平田勝久

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
会長 小菅千恵子

石綿健康被害救済制度における治療副作用および続発症の
公費負担医療の運用に対する抗議及び面談の申入れ

 今般、中皮腫で治療中の石綿健康被害救済制度被認定者が、認定疾病の治療に伴う副作用が疑われる口腔内症状について院外の歯科を受診した事案で、独立行政法人環境再生保全機構(以下「機構」という。)が、いったん公費負担が可能である旨を医療機関に案内し、実際に窓口負担なく診療が行われていたにもかかわらず、その後、「紹介状又は診療情報提供書がないものは公費負担の対象にならない」旨を医療機関に伝えたとされる対応に、環境省及び機構に対して強く抗議します。

この対応により、当該患者は予定していた受診を取りやめ、医療機関からも今後の対応から退きたいとの意向を示されました。さらに、患者は過去の医療費請求までためらう状況に置かれています。これは単なる事務手続上の行き違いではなく、患者の受療継続と権利行使を機構が妨げた重大な問題です。速やかに、歯科診療であること又は紹介状がないことだけを理由に一律に排除せず、主治医への照会を含む適切な医学的確認を行い、患者に不利益を負わせない運用に改善してください。

今回の運用は、石綿健康被害救済法の根幹である「迅速な救済」の理念を真っ向から否定するもので患者に大きな負担をかけるものです。環境省及び機構は、本件をはじめ、関連する業務運用に関して、この事案の発生原因と経緯を説明するとともに、同様の事案の再発防止策を明示して頂きますよう要請します。 

本件事案の経過

当該被認定者は、認定疾病に対する治療の開始後ほどなく口腔内に異常が現れ、治療を担当する主治医から、退院後に歯科を受診するよう指示されました。その後、院外の歯科に複数年にわたり通院していました。主治医の指示に基づいて受診したものであり、認定疾病と無関係な歯科受診ではありません。

2025年の国会議員会館で開催した省庁交渉で示された説明を踏まえ、患者が歯科医師に制度を説明し、歯科医師が機構へ電話で確認したところ、公費負担として取り扱ってよい旨の回答を受けました。その後の複数回の受診は、窓口負担なく行われました。

ところが、当該患者が先日、次回の受診予約をしようとした際、歯科医師から、機構より「紹介状又は診療情報提供書がないものは公費負担にならない」との連絡があった旨を告げられました。その日のうちに、歯科医師から、今後は主治医の所属病院の口腔外科で診てもらう方がよく、本件の対応からは退きたいとの意向も示されたため、患者は受診予約を取りませんでした。患者は主治医病院の口腔外科受診を相談する予定ですが、過去分の医療費請求も含めての懸念を感じ、制度利用をためらわざるを得ない状況にあります。

これまでの省庁交渉における確認事項との矛盾

2025年の省庁交渉では、環境省より対象疾病の発症及び治療に伴って生じた傷病の治療は給付対象となり、治療上必要な歯科治療も同様である旨が説明されました。

2026年6月26日の省庁交渉では、主治医が中皮腫治療との関連で指示した他科・他院受診であっても石綿手帳の利用を拒まれ、患者が自己負担を求められる事案についても取り上げました。それに先立つ、5月20日のオンラインでの意見交換で環境省は、副作用等に関わる問題について機構から周知を行っている旨を回答しています。今回の事案は、その後も必要な周知と統一的運用が実現していないばかりか、機構自身の後日の連絡が受療中断を招いたものです。

アンケート調査が示す実態と本件の問題点

私たちは、2026年6月9日から8月3日まで、中皮腫患者、家族及び遺族を対象に、治療費や検査代等の「自己負担問題」に関する任意回答式アンケートを実施し、59件の回答を得ました。このうち、石綿健康被害救済制度の適用を受けているとの回答は35件でした。その35件のうち、副作用と思われる症状についての設問に回答した34人中31人が、その症状を主治医に訴えた経験があると回答し、17人が他科受診を指示されたと回答しました。また、16人が副作用等の検査・治療のための他科・他院受診における自己負担の経験を具体的に記載し、歯科受診経験がある15人中11人が、その費用を自己負担したと回答しています。

このアンケートは任意回答によるもので、制度利用者全体の割合を推計するものではありません。しかし、主治医が治療との関係を認め、又は他科受診を指示した場合であっても、患者が自己負担を求められる問題が複数生じていることを示しています。今回の事案を一人の患者と一医療機関の間の行き違いとして処理することはできません。環境省と機構には、当事者の経験を踏まえ、制度運用の実態を正確に把握するとともに、これまでの患者・家族への回答との乖離が発生した原因・経緯を説明し、これまでの回答にそった適正な運用に是正する責任があります。 

これまで公費負担として認められていた取り扱いが変更された理由と根拠の説明を求めます。

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