中皮腫を含むアスベスト関連疾患の予算増額と残高750億円の石綿健康被害救済基金の活用を求める要望書を提出
公開日:2024年11月15日
2024年10月25日に厚労省と環境省に下記の要望書を提出しました。これを踏まえ本日、2024年11月15日に厚生労働省と環境省との協議の場を設け、制度の改善を求めましたのでご報告致します。引き続き、「中皮腫を治せる病気にする」ことを目指して、取り組みを進めていきます。
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2024年10月25日
厚生労働大臣 福岡 資麿 様
環境大臣 浅尾慶一郎 様
中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
会長 小菅千恵子
中皮腫を含むアスベスト関連疾患の予算増額と
残高750億円の石綿健康被害救済基金の活用を求める要望書
中皮腫を含むアスベスト関連疾患の治療研究推進に向けて下記の通り要望・質問します。
1 労災疾病臨床研究補助金(厚生労働省)
来年度予算要求において、厚生労働省は労災疾病臨床研究補助金において中皮腫を含むアスベスト関連疾患の予算増額を求めていません。2023年12月の公募では臨床試験に係る公募は2件あり、1件は落とされています。当該研究はもとより、関係学会等を通じて新たな臨床試験の実施を呼びかけ、速やかに支援を開始してください。各種アスベスト裁判で国が敗訴しているにも関わらず、肝炎やエイズなど同様に国の責任が司法で確定、あるいは責任が問われた問題において治療研究の支援において各2,30億/年の予算要求がされていることと比較して年間で1億円程度の支援しかされてない現状は理解ができません。7月5日の意見交換の場において、厚労省の石綿健康被害対策室関係者は労災疾病臨床研究補助金を含めた治療研究支援のための予算を増額するよう努力する旨の発言をしています。どのような努力をされたのかご説明ください。
2 「中皮腫を治せる病気にする」ための役割整理(環境省、厚労省)
7月5日の意見交換の場において、中皮腫を含むアスベスト関連疾患の治療研究の課題や目標を設定するための関係部局同士の連携を図るため、責任部局を定めるよう求めた際、安全衛生部計画課の関係者から、関係各課と連携した上で必要な場を設ける旨の発言をしています。今後、どのような場を設けるのかご説明ください。
3 「中皮腫登録制度」検討の進捗について(環境省)
7月5日の意見交換の場において議論のあった中皮腫登録に関する、7月5日以降の検討の進捗状況と、今後の進め方の方針・方向性についてご説明ください。なお、本中皮腫登録制度は平成23年度6月に行われた中央環境審議会の「石綿健康被害救済制度の在り方について(二次答申)」において、「その結果を広く認定患者や、医療機関に対し、情報提供すべきである。」との記載があることを付記しておきます。
4 遺伝子パネル検査に関連した治療の支援(環境省、厚労省)
現在、がんゲノム医療において行われている「がん遺伝子パネル検査」に対して有効な治療薬が提案された場合、治験ないしは患者申出療養制度の枠組みによって治療提案が行われます。労災・救済制度ともに、この患者申出療養制度においては、高額な薬剤費が自己負担となるケースが想定され、被害者救済の趣旨から大きく逸脱しています。労働者災害補償保険法第13条において給付対象を「政府が必要と認めるもの」と定めており、「療養の効果が医学上一般的に認められるもの」とされています。厚労省の患者申出療養に関してのホームページでは、「患者さんから申出のあった医療技術について、患者さんのその時点の病状に対してきちんと効く可能性が高いか(有効性)、また大きな副作用の心配などがないか(安全性)などについて、科学的根拠に基づいているか、保険収載をめざした試験計画になっているか、国の会議で確認の上で、実施できるか決定されます。」と記載されており、法令で定める要件を満たしていると考えます。また、石綿健康被害第11条で「薬剤又は治療材料の支給」が定められており、当該条文の逐条解説では薬剤について「治療上必要な内服薬及び外用薬」と記載され、「医師が必要と認めた場合に行われるもの」と指定されています。労災保険制度でも石綿健康被害救済制度でも遺伝子パネル検査に関連した治療にもとづく治療は給付の対象となると考えますので支給の有無についての判断を明らかにしてください。7月5日の意見交換の場において、厚労省の担当者から環境省と協議するとの考えが示されましたので、どのような整理をされたのか示してください。