お知らせ

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アスベスト石綿健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書(2023年5月9日)

公開日:2023年5月6日

2023年5月9日に予定しています「中皮腫を治せる病気へ! アスベスト健康被害の格差とすき間のない補償を求める院内集会と関係省庁との意見交換会」における関係省庁との意見交換会については、以下の要望事項を中心に議論を進めます。ご参加予定のみなさまにおかれましては確認の上、参加いただきますようお願い致します。

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環境大臣 西村明宏 様
厚生労働大臣 加藤勝信 様
法務大臣 齋藤 健 様

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会
会長 小菅千恵子

アスベスト石綿健康被害に係るすき間のない救済を求める要望書

アスベスト健康被害をとりまく諸制度に関して、下記の通り要望します。ご回答をよろしくお願いいたします。 

1 石綿健康被害救済小委員会の運営(環境省)

中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会で石綿健康被害救済制度の見直し議論が進められています。

①委員やヒアリングで出された意見を十分に踏まえ、丁寧な審議の運営と報告書の取りまとめをしてください。また、2次答申のとりまとめに向けて準備を開始してください。

2 「中皮腫を治せる病気にする」ことを含めたアスベスト疾患の治療・研究開発の促進(環境省、厚労省)

「中皮腫を治せる病気にする」ための国の研究支援が不十分です。その他のアスベスト疾患も抜本的に治療研究の支援を見直す必要があります。

①「命の救済」をするために石綿健康被害救済基金を活用し、環境省と厚生労働省が「中皮腫を治せる病気にする」ための具体的な施策を示してください。現行でそれが難しいのであれば、法改正して基金を活用できるようにすべきです。小委員会では、治療研究促進のための費用負担のあり方の検討、中皮腫に対する新たな研究費の設定も提案されているにもかかわらず、突き詰めた議論がされていません。きちんと議論をすべきです。

②昨年10月21日の医療関係者からのヒアリングで提案のあった一部の胸膜中皮腫にしか使用が認められていないオプジーボとヤーボイの二剤併用療法について、関係会社である小野薬品工業は適応拡大のための臨床試験にあたって一切の資金拠出はしないと判断しています。オプジーボとヤーボイにかかる適正使用推進ガイドラインでの制限を取り払い、ファーストライン以外にもオプジーボとヤーボイの二剤併用治療を可能にしてください。

③環境省が実施している中皮腫登録事業は、「中皮腫を治せる病気にする」ことに全く寄与していません。必要な予算措置を講じるとともに関係学会等と連携し、「中皮腫を治せる病気にする」ことを目的とした事業として再構築してくだい。そのための議論を早急に開始してください。

④中皮腫以外のアスベスト疾患の研究支援の現状と「治せる病気」にするために研究支援のあり方を改善してください。

⑤2023年2月28日、小野薬品工業株式会社は、ヒト型抗ヒトPD-1モノクローナル抗体、オプジーボ®(一般名:ニボルマブ)点滴静注(以下、オプジーボ)について、悪性中皮腫(悪性胸膜中皮腫を除く)に対する効能又は効果の追加に係る国内製造販売承認事項一部変更承認申請をしました。本件について早期に承認してください。

3 アスベスト被害者の給付格差をなくす取り組み(環境省、厚労省)

石綿健康被害救済小委員会では、法学者らからのヒアリングにおいて、新たな補償制度の創設が提言されました。労災と救済給付の給付水準や給付体系には大きな格差があります。

①救済小委員会では、法学委員から「国会・他省庁を含めて必要な検討を行うべきである」と意見が出されています。新たな補償制度の検討に向けて環境省と厚労省で連携し、検討の場を設置してください。

4 石綿ばく露者の健康管理の体制構築(環境省、厚労省)

アスベストはあらゆる職業、地域で使用されてきました。しかし、石綿ばく露者の健康管理に関しては、厚労省の石綿健康管理手帳は一部の元労働者を対象としたものであり、環境省は「石綿読影の制度に係る調査」においてきわめて限定的な自治体を対象とした時限的な調査事業しか実施していません。これらにおいては建設業等における自営業者・一人親方等は必ずしも対象となりません。また建物などからの環境経由の石綿ばく露者も対象となっていません。

①建設業等における自営業者・一人親方等、地域が限定されない建物ばく露等の環境経由の石綿ばく者の健康管理をすき間なく実施するための検討の場を設置してください。

5 ピア・サポートとグリーフケアの推進(環境省、厚労省)

中皮腫をはじめ、アスベスト疾患を発症した患者・家族は病気の全体像や治療方針を検討するために医療者からの情報だけではなく、同じ病気の治療・療養の体験に強く関心を持ちます。遺族のグリーフケアに関しても同様の傾向があります。救済制度の利用アンケートでも「患者のネットワークに関する情報提供」について一定の要望が出ています。

①東京都をはじめ、都道府県や市区町村レベルでは、がん患者支援団体の情報を積極的に発信しているにもかかわらず、厚生労働省、環境省、環境再生保全機構は中皮腫や肺がんの療養支援にかかわる当事者団体と連携した取り組みを拒まれています。ただちに具体的な施策のあり方について当事者団体と協議してください。

6 すき間のない補償・救済をはかるための取り組み(環境省、厚労省、法務省)

石綿健康被害者は労災制度や救済制度で補償・救済が図られていますが、「すき間のない救済」を徹底するために以下の事項について迅速にご対応ください。

①中皮腫の死亡年別の死者数に対して、労災や救済法における認定者数は高い年でも7割未満です。厚労省、環境省で過去に実施した個別周知事業を再度実施してください。あわせて、引き続き各法務局での死亡診断書の原則27年間保管を徹底し、人口動態調査における「死亡小票」を活用できるよう法改正してください。

②石綿健康被害救済制度における肺がんの認定者は中皮腫の1に対して0.15です(労災は0.73)。石綿健康被害救済基金の残高が積み上がっている原因にもなっています。判定基準が労災制度に対して厳格すぎて、申請・認定が進んでいません。肺がんの判定基準に「石綿ばく露歴」を取り入れ、労災相当の基準としてください。

③国際がん研究機関(IARC)をはじめ、国際機関において卵巣がん、喉頭がんとアスベストばく露の関連性が指摘されています。労災保険制度における認定疾病に追加してください。

④石綿救済制度では、良性石綿胸水、卵巣がん、喉頭がんを対象疾病に追加してください。

⑤石綿ばく露を原因として労災認定される者には、さまざまな理由から発症から請求までの期間が2年以上経過することもあります。労災請求に至る以前に、傷病手当金を申請・受給する場合もありますが、傷病手当金の支給対象期間が労災制度の休業補償の請求期限が消滅している場合もあります。そのような場合、同一期間において労災からの休業補償の支給がないにもかかわらず、支給された傷病手当金の返還を求められます。このような実態から、労災認定される可能性がありながら、「あえて労災請求をしない」という事例もあります。傷病手当金の返還を求めないなどの対応を早急に実施してください。

具体的な事案の一例

2018年3月に肺がんを発症。被災者は長年、左官工として石綿にばく露していたことから診断後、医師に対して石綿関連の肺がんかどうか尋ねたが否定される。

発症から3年以上経過した2021年12月にアスベスト被害の相談を受け付ける報道をきっかけに患者支援団体に相談して同月、労災請求に至った。2022年3月に被災者は死亡。6月に遺族に対して決定通知と休業補償給付が支給された。

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