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中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会の運営に関する要望

公開日:2023年2月9日

中央環境審議会環境保健部会石綿健康被害救済小委員会の運営に関して、以下の要望を提出致しました。

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2023年2月9日

環境大臣  西村明宏 様

環境省大臣官房環境保健部環境保健企画管理課
石綿健康被害対策室 室長 木内哲平 様

中央環境審議会環境保健部会
石綿健康被害救済小委員会 座長 浅野直人 様

中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会

会長 小菅千恵子

 

中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会の運営に関する要望

 

現在、議論が続いている中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会(以下、小委員会)は、昨年12月に第4回委員会が終了しています。第2回では患者・家族、第3回では医療関係者、第4回では法学・経済学関係者へのヒアリングが実施され、今後さらに議論をすべき課題が多く残っています。

2022年6月10日の第208回国会参議院環境委員会で「石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案」が審議・可決され、「石綿による健康被害の救済に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議案」が全会一致で決議されました。同決議においては、小委員会でも議論されるべき課題があげられ検討することが求められています。

このような経過を踏まえ、以下の課題について継続した議論をしていくことを要請します。

1 「中皮腫を治せる病気にする」ための治療研究

小委員会で3名の医師からの提言(既存薬の適用拡大をはかるための臨床試験支援、革新的な治療薬を開発するための基礎研究支援、中皮腫のレジストリデータ構築)を踏まえ、小委員会では治療研究推進の重要性は確認されましたが、具体的な課題の整理と実現に向けた目標設定をしていません。中皮腫を治すために「中皮腫治療戦略会議」の設置など、関係省庁の連携のあり方も確認する必要があります。

2 療養手当・給付の見直しのあり方

小委員会での患者・家族、法学者および経済学者からの提言(現行給付および給付体系の見直し、救済制度から補償制度への移行)を踏まえ、今後、さらに議論を深めていく必要があります。ワーキンググループの設置も含めて、論点整理・議論のあり方について確認する必要があります。介護保険利用時の自己負担分に対する給付、臨床試験参加の際の交通費の支給なども議論していく必要があります。

3 肺がん判定基準へのばく露歴評価の採用と申請促進

①建設アスベスト給付金制度の運用によって、すでに労災の対象でない、救済給付のみの受給者に対してもばく露歴調査に基づいて給付金の支給の可否が判断されています。救済制度でばく露歴を「評価しない」ことに合理性はなく、「石綿ばく露歴」を判定基準にただちに採用すべきです。これまでの小委員会では、判定基準に「石綿ばく露歴」を採用しないことを合理的に否定する意見は出ていません。「石綿ばく露歴」を盛り込んだ判定基準の運用開始の確認をただちにすべきです。

②現在、申請に必要な診断書料は患者負担です。労災保険制度に準じて、認定された場合には診断書料を申請者に支給する必要があります。あわせて、医療機関に診療報酬(「石綿疾患労災請求指導料」450点(1回限り))に準じた支給をするなどの改善が必要です。また、労災には求められていない【石綿が原因であることの根拠】などの記載を実質上必須としている運用を改める必要があります。

4 制度および支援組織の周知のあり方

①2022年6月の議員立法による法改正で労災時効救済制度、特別遺族弔慰金・特別葬祭料の請求期限の延長がされています。法改正前に、労災時効救済制度の周知が極めて限定した地域のみを対象にして実施されているだけで、法改正後に一切の周知事業がされていません。2022年10月末から環境省が、石綿救済制度の認定者に対して建設アスベスト給付金制度の周知を実施しましたが、労災時効救済制度の周知をしていないので不十分です。上記、法改正に関連した制度の周知のあり方について議論が必要です。

②上記事項に関連して、死因が書類上で確定できない遺族の救済を推進するために死亡小票の活用、医療記録の保存期限の問題について厚労省と連携して問題の整理と改善のあり方について議論が必要です。

③さらに、ピア・サポートやグリーフケアに取り組んでいる患者団体等の周知に関して、がん相談支援センターを通じてやっているとの発言が前回の小委員会で石綿対策室長からありましたが、がん相談支援センターの利用率は1割程度であり、さらにピア・サポートの意味などを認識している利用者も限られていることから支援団体等の周知が満足に図られている状況にはありません。ピア・サポート等を必要とする患者・家族にダイレクト情報が届けることを考えるべきで、それを実施しない・しようとしないのは明らかな不作為です。周知のあり方について厚労省とも連携して議論をしていく必要があります。

5 恒久的な健康管理体制のあり方

 一般環境経由、また建設業において一人親方等、あるいはその家族で石綿にばく露した方で、厚労省が発行する石綿健康管理手帳の支給の対象とならない石綿ばく露者(非職業性・職業性を問わず)の健康管理のあり方を含めて、全国的に地域等を限定せずに健康管理を進められる体制の構築が急務です。神戸市などは本人の申告に基づいて、医師から経過観察の必要性などが認められた場合に「アスベスト健康管理手帳」が発行されています。基本的にはこの形を全国で運用し、国の責任において恒久的な健康管理の体制を整える必要があります。実施のあり方について議論をしていく必要があります。

 

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