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アスベスト裁判における肺がんの遅延損害金の起算日に関する札幌高裁判決確定(最高裁による上告不受理決定)

公開日:2022年12月6日

令和4年11月22日、最高裁判所第三小法廷が,泉南型(工場型)アスベスト国家賠償請求事件における遅延損害金の起算日を死亡時ではなく肺がんの発症日とした札幌高裁判決に対する国の上告について不受理決定を出しました。

先日、最高裁判所第一小法廷が,中皮腫事案について遅延損害金の起算日が争われた2つの事件で国の上告の不受理決定を出したことをご報告いたしましたが、今回の最高裁の決定により国に上告された3件全てについて原告勝訴の判決が確定したことになります。

中皮腫事案の上告不受理決定が出された後、国が別事件で遅延損害金の起算日を死亡時ではなく中皮腫発症日とする和解案を出してきましたので、今後は中皮腫と肺がん事案について遅延損害金の起算日を発症日とする和解に応じるものと思われます。

本件の肺がん事案は平成30年9月に提訴しており,国が最高裁に上告した3つの事件のうち最も早く提訴していたのですが,一番最後の解決となりました。これらの事件の原告の方は、他の被災者遺族のためにも良い先例を作りたいという気持ちで長期にわたる訴訟に挑んでくださいました。原告の皆様とそのご家族に敬意を表しますとともに、長らく訴訟にご協力いただいたことに感謝申し上げます。

本件では原告勝訴の高裁判決が立て続けに出た時点で、国も最高裁での勝訴の見込みが低いことは予想していたのでないかと思いますが、残念ながら3件とも上告されてしまい、その結果解決が長引いてしまいました。この間に和解をしてしまった被災者遺族の方もおられましたので、国の対応は残念でなりません。本来、国は客観的な視点から法律判断をして、最終的な判決予想に基づき早急な和解を検討するべきだと思いますが、建設アスベスト訴訟同様に、国は最高裁での結論が出るまで争う姿勢を崩しませんでした。アスベスト被害は未解決の争点や未だ解決スキームが確立されていない被害類型の被災者が多くおられますが、これまでの国の対応を見る限り国による自発的な立法解決等がなかなか期待出来ないため、被災者やご家族の皆様による運動に加えて、訴訟による政策形成を促す活動が必要だと感じています。

アスベスト被害救済のため、各地で多くの弁護団の先生がご尽力されていますが、私もこれからもアスベスト被害救済のために関わらせていただこうと思います。

執筆・弁護士 段林 君子(桜花法律事務所/札幌弁護士会)

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