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中皮腫の診断に関して

 

(質問) 中皮腫の診断には、総合病院の呼吸器内科・胸部(呼吸器)外科を受診する事が必要だと会の人が言っているのを聞きましたが、そうなのでしょうか? 私の家族は中皮腫と診断されるまでに何軒も病院をまわりました。最初の病院はベッド数20人の小さい病院で水を抜く検査だけでした。2番目の病院は内科医だけで呼吸器内科医はいない100床の民間病院で、結核性胸膜炎として4ヶ月治療をうけ、中皮腫という診断を受けるまで半年もかかりました。今後の方たちには私達の様な事がないようにしたいのですが、どうすれば良いでしょうか? 

(答) 悪性胸膜中皮腫の診断は、1980年代後半には胸膜生検が主流で(胸水の細胞診検査もありましたが)、病床数数百ベッドの総合病院もしくは大学病院の呼吸器内科、胸部(呼吸器)外科で主に診断されていました。1990年代からCT下の胸膜生検も実施されてきました。


(質問) 生検って言われましたけれど、それって何ですか?


(答) 生きているからだの検査(生体検査)の略で、患者から生体の一部を採取して、その組織を光学あるいは電子顕微鏡や化学的検査などで調べて、病気の診断や経過予後の判定の一助にすることをいいます。皮膚、筋肉、腎臓、肝臓、脊髄、肺、心臓、消化管、粘膜など、病気の診断の根拠になるあらゆる組織が対象になります。胸の膜(胸膜)に外から針をさして、1ミリ×3ミリ×1ミリの腫瘍組織を採取していたのです。


(質問) CT(Computed Tomography)って、何ですか? 


(答) コンピューター断層撮影です。人体に種々の角度からX線をあて、輪切り状に3次元的に映像化するコンピューターを用いた装置。従来のX線撮影に比べると、骨、液体成分、空気などを微細な濃淡の映像として表すことができ、初期には脳卒中、脳腫瘍などの頭部の診断に用いられていました。現在では全身の撮影に用いられています。


(質問) 胸膜中皮腫の場合、胸に水がたまるか、腫瘍がレントゲンで映って見つかりますよね?


(答) 胸部レントゲン写真と胸部CT写真で、胸水か胸膜腫瘍が疑われた場合、稀に外来で胸水を抜き(穿刺)ますが、通常は検査入院する場合がほとんどです。外来で採血した腫瘍検査(マーカー)や炎症等の検査結果で、肺ガンや胸膜炎や結核等の可能性を判断します。


(質問) 腫瘍マーカーって何ですか? 


(答) がん組織が分泌する特異な物質で、血液や尿中から検出されますが、がん組織がある程度大きくならなければ検出できないこと、分泌量が微量であることから、まだ中皮腫の場合は診断の決め手になるには弱いようです。一生懸命開発がされています。肺ガンの腫瘍マーカーは、CEAとかCYFRAとか色々あるので、上昇しているかどうかチェックします。


(質問) なるほど、まず色々と病気を絞り込む訳ですね?


(答) 胸水穿刺の検査で、悪性か炎症性かの判断も行ないます。胸水の判断は1回で済まない場合も多いのですが、その後悪性の疑いが濃く胸膜由来の病気であれば胸腔鏡を計画します。
悪性が疑われる胸水が続く方なら、まず2ヶ月以内に判断をつけようとすると思います。


(質問) 1990年代後半から、胸膜の検査方法が変わったのですか?

 
(答) 1990年代後半以降2000年代になり胸腔鏡下胸膜生検が、悪性胸膜中皮腫の診断の主流になっています。胸腔鏡下胸膜生検は、手術室全身麻酔下で実施されますから、数名以上の専門医のいる病床数数百ベッドの総合病院の呼吸器内科・胸部(呼吸器)外科、大学病院呼吸器内科・胸部(呼吸器)外科で診断されています。


(質問) 胸腔鏡下胸膜生検って、分かりにくいのですが?


(答)  全身を麻酔して、胸腔鏡というカメラを胸の外側から挿入して詳しく肺の外側(胸膜)を見ながら、必要な部分を鉗子でつまんで組織を調べる検査です。直接胸膜を見る事ができ、異常部分を直接採取できるため、中皮腫の診断の精度が飛躍的に上昇した検査方法です。1990年代から開始され、現在では胸部外科医を中心に総合病院や大学病院等で広く実施される検査となりました。検査時間は1時間前後です。


(質問) 中皮腫の診断はどうして、つけるのですか?


(答) 中皮腫の最終診断を行うのは、呼吸器内科や胸部外科の医師でなく、病理医です。正確な病理診断が行われるためには、皆さんが入院している病院が、臨床病理医がいる病院である必要があります。以上から、病床数数百ベッドの総合病院の呼吸器内科・胸部(呼吸器)外科、大学病院呼吸器内科・胸部(呼吸器)外科での診断をお勧めします。なお、石綿関連疾患に詳しい呼吸器内科医や外科医が1名いれば、一定の診断はもちろん可能です。また,経験ある病理医への外部からのコンサルテーションも,しばしば行われています。


(質問) 病理診断って、細胞や組織を顕微鏡標本にして調べる検査らしいですが、病理医って何をする医師ですか? 患者と接しない医師が大きな役割を果たすというのは、正直驚きです。 


(答) 患者さんと接することの少ない医師の職種には,放射線診断医,麻酔医,病理医などがあります.これらの中でも病理医は,特に専門性が高い職種と考えられます.というのは,放射線画像読影,麻酔の実施は,ある程度,通常の臨床医(たとえば外科医)もできますが,病理診断ができる外科医というのは殆どいません.病理医は,大きな総合病院,大学病院,全国のがんセンターなどに常駐しています.がんの治療には,病理診断が必須なので,がん専門施設では多くの病理医を擁しています。


(質問) 病理医はどのような報告を、呼吸器内科や胸部外科の医師にするのですか?


(答) 提出された組織材料からプレパラートを作製して,疾患を病理学的に分類し,病理診断書(病理検査報告書)を提出します.通常はHE染色を使って分類しますが,特殊染色,免疫染色を行うこともあります.特に中皮腫の場合は,稀な腫瘍であり診断が難しいので,多種類の免疫染色を行うこともしばしばあります。


(質問) 病理医の報告が来れば診断は終わりですか?


(答) いえいえ。診断には二つの段階があって、悪性中皮腫であるかどうかの病理学的診断と、悪性中皮腫であればどこまで腫瘍が広がっているのかを診断するステージ分類があります。主治医の先生が、腹部(おなか)のCTや骨シンチ(肋骨や脊椎等の骨に癌や悪性中皮腫が転移しているかどうかを診断するために、静脈から放射線同位元素を注射して外来で1日で、調べる骨シンチグラフィーという検査)、PETといった検査をしているのは、腫瘍の広がり具合も判断しているからです。


(質問) ステージ分類って何ですか?


(答) ステージ分類は、中皮腫の進行の程度を判断するために決められた分類です。腫瘍の進展程度をT(Tumor =腫瘍)、リンパ節転移をN(Node =節)、その他の臓器への転移を M(Metastasis=転移)でチェックします。中皮腫の進行では、I.M.I.G.分類が有名で、それにより中皮腫の進行度を判断します。この分類に基づき手術が可能かどうか判断しますから、主治医の先生からステージ分類を是非聞いてください。


(質問) 悪性中皮腫には幾つかの種類があるのですか?


(答) 悪性中皮腫には幾つかのタイプがあり、大きくいうと、上皮型、肉腫型、両者の性格をもった二相型の3タイプがあります。これ以外にも細かい分類があります。タイプにより予後が異なり、上皮型は生存期間が長く、肉腫型は生存期間が短い傾向にあります。


(質問) 中皮腫の発症から 中皮腫と診断されるまでの 平均日数はどのくらいでしょうか?


(答) 最短6週間との報告もありますが、発症時期が特定できない場合が多いので、時期を決めるのは難しいのが実情です。

 

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